運送業と衛生管理者
衛生管理者の受験者さんには、運送業の人もたくさんいらっしゃいます。運送業には、荷物を乗せて運ぶ「貨物」と、人を乗せて運ぶ「旅客」があります。
衛生管理者を受験する人は、貨物をトラックなど車両で運ぶ運送業の人が多いので、ここでも陸上での運送業について見ていきます。
運送業は、衛生管理者試験において、危険有害が多い業種に区分されています。自動車で運転を行いますので、安全衛生に気を付けるべきことがたくさんあるからです。
運転者自身が安全衛生に気を付けるには、知識を身に付けることがひとつの方法です。
運送業で必要な知識とは?
運送業の運転者にとって必要な知識は、資格試験として体系化されています。そのひとつが「運行管理者」です。
運行管理者は、国家資格で運送業を営む際、必ず必要となる資格です。通常、車両の数に応じた運行管理者を、免許所有者の中から選任する必要があります。
運行管理者の仕事は、営業車の安全な運行を管理することです。
事業用自動車について運転者の点呼を実施し、健康状態の把握や安全運行のための具体的な指示、運転者の勤務時間等の適正な管理など、安全運行を確保するための運転者に対する指導監督を行うのが職務となっています。
なお、資格種別として、「貨物」と「旅客」が分かれています。
運行管理者の試験の概要
受験資格は、実務経験が1年以上必要で、その他にも指定の講習を修了している者などが受験できます。
試験は、8月と3月の年に2回行われており、受験料は6,000円になります。
合格するには、総得点の60%(30問中18問)以上を得点し、かつ、各出題分野で1問又は2問以上正解しなければなりません。
試験内容は、道路運送車両法、道路交通法などの法律がメインです。合格発表は、試験日より1か月以内に行われます。
下記は、平成27年8月試験の統計です。
貨物 | 旅客 | |
受験者数 | 32,699人 | 6,889人 |
合格者数 | 7,402人 | 1,205人 |
合格率 | 22.6% | 17.5% |
(公益財団法人 運行管理者試験センターより)
大手では資格が昇格・昇給の条件に
運行管理者の資格は、運送業を営業するには必要なのですが、大手の運送業者では、すべての社員に取得させるようになっていることがあります。
運転者ひとりひとりが、専門知識を持つことで、より質の高い運送が可能になると考えられるからです。
運行管理者を取得した後、衛生管理者の資格取得を推奨している企業もあります。
衛生管理者の試験内容の中で、運送業に直接関係があるのは、全身振動障害の症状とその対策、重量物(荷物の積み下ろし)の取扱いと腰痛対策などです。
知識が大切な理由
陸上の運送業界で働く人は、自動車を運転し、貨物であればお客さんの大切な荷物、旅客であれば乗車しているお客さんの命を預かっています。
しばしば、過重労働など健康状態が原因で、事故が起こることもあります。運が悪ければ、運転者自身がケガをしたり、歩行者や乗客を巻き込むこともあります。
そういったリスクを回避するためには、運転者自身が適切な知識を持つことが重要です。
ですから、運行管理者や衛生管理者の知識は、運送業であればいずれ身に付けるべきでしょう。
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