衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2014年10月) | 衛生管理者 講習会・通信講座

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衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2014年10月)

ここでは、2014年(平成26年)10月公表の過去問のうち「労働生理」の10問について解説いたします。
この過去問は、第一種衛生管理者、第二種衛生管理者の試験の範囲です。
なお、特例第一種衛生管理者試験の範囲には含まれません。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

衛生管理者の過去問の解説:関係法令:有害(2014年10月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2014年10月)
衛生管理者の過去問の解説:関係法令:一般(2014年10月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2014年10月)
衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2014年10月)



問21 呼吸に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)呼吸運動は、気管と胸膜の協調運動によって、胸郭内容積を周期的に増減させて行われる。
(2)肺胞内の空気と肺胞を取り巻く毛細血管中の血液との間で行われるガス交換は、外呼吸である。
(3)成人の呼吸数は、通常、1分間に16~20回であるが、食事、入浴や発熱によって減少する。
(4)呼吸に関与する筋肉は、間脳の視床下部にある呼吸中枢によって支配されている。
(5)血液中に二酸化炭素が増加してくると、呼吸中枢が抑制されて呼吸は浅くなり、回数が減少する。


答え(2)
(1)は誤り。人の肺自体には運動能力がないので、呼吸運動は主として肋骨の間にある『呼吸筋』と『横隔膜』の協調運動によって行われています。
(2)は正しい。呼吸には、肺で行われる外呼吸と、組織細胞とそれを取り巻く毛細血管中の血液との間で行われる内呼吸があります。
(3)は誤り。呼吸数は、食事、入浴や発熱によって『増加』します。
(4)は誤り。呼吸に関与する筋肉は、『延髄』にある呼吸中枢によって支配されています。
(5)は誤り。血液中に二酸化炭素が増加してくると、呼吸中枢が『刺激されて呼吸は深くなり』、呼吸数が『増加』する。



問22 次の図は、ヒトの血液循環の経路を模式的に表したものであるが、図中の血管ア~カを流れる血液に関する(1)~(5)の記述のうち、正しいものはどれか。

問22図

(1)血管アは静脈であるが、動脈血が流れる。
(2)血管ア~カを流れる血液のうち、二酸化炭素を最も多く含む血液は、血管イを流れる血液である。
(3)血管ウを流れる血液は、血管イを流れる血液に比べて酸素を多く含む。
(4)血管カを流れる血液は、血管エを流れる血液に比べて尿素を多く含む。
(5)血管ア~カを流れる血液のうち、食後、ブドウ糖を最も多く含む血液は、血管オを流れる血液である。


答え(5)
(1)は誤り。血管アは肺動脈で、二酸化炭素を多く含む静脈血が流れています。
(2)は誤り。血管イは大動脈で、酸素をたくさん含む動脈血です。
(3)は誤り。血管ウは大静脈で、そこを流れる血液は二酸化炭素を多く含み、血管イを流れる血液の方が酸素を多く含んでいます。
(4)は誤り。血管カは腎静脈、血管エは肝静脈です。尿素は腎臓でろ過されて尿として排泄されますので、血管エの肝静脈を流れる血液の方が、血管カの腎静脈に比べて尿素を多く含んでいます。
(5)は正しい。ブドウ糖やアミノ酸などの栄養素は血管オの肝門脈を通って、肝臓に集められるため、肝門脈を流れる血液は、食後、ブドウ糖が多く含まれます。



問23 自律神経系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)自律神経系は、内臓、血管などの不随意筋に分布している。
(2)自律神経である交感神経と副交感神経は、同一器官に分布していても、その作用はほぼ正反対である。
(3)自律神経系の中枢は、脳幹及び脊髄にある。
(4)心臓に対しては、交感神経は心拍数を増加させるように作用し、副交感神経は心拍数を減少させるように作用する。
(5)消化管に対しては、交感神経は運動を促進させるように作用し、副交感神経は運動を抑制させるように作用する。


答え(5)
(5)は誤り。交感神経は消化管の運動を『抑制』し、副交感神経は『促進』させます。
(1)(2)(3)(4)は正しい。



問24 成人のヒトの肝臓の機能として、誤っているものは次のうちどれか。

(1)脂肪酸の分解及びコレステロールの合成
(2)アルブミンなどの血漿蛋白の合成
(3)赤血球の産生及び分解
(4)アミノ酸からのブドウ糖の合成
(5)グリコーゲンの合成及び分解


答え(3)
(3)は誤り。赤血球の産生は骨髄で行われ、赤血球の分解は別の臓器で行われた後、分解物が肝臓に送られます。
(1)(2)(4)(5)は正しい。



問25 腎臓での尿の生成に関する次の文中の[  ]内に入れるAからDの語句の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。

「腎小体を通る血液中の血球及び[ A ]以外の成分は、糸球体から[ B ]に濾過されて原尿になる。
原尿中の水分、電解質、[ C ]などの成分が[ D ]において血液中に再吸収され、残った成分で生成された尿は膀胱にたまり体外に排泄される。」

(1)[A]蛋白質 [B]尿細管   [C]糖    [D]ボウマン嚢
(2)[A]糖   [B]ボウマン嚢 [C]蛋白質  [D]尿細管 
(3)[A]糖   [B]ボウマン嚢 [C]アミノ酸 [D]尿細管 
(4)[A]糖   [B]尿細管   [C]蛋白質  [D]ボウマン嚢
(5)[A]蛋白質 [B]ボウマン嚢 [C]糖    [D]尿細管 


答え(5)
糸球体は毛細血管でそこには小さい穴が開いており、血球や蛋白質といった大きい物質は通り抜けることができません。
原尿中に出てしまった体に大切な成分もほとんどが血液中に再吸収されて、残った水分と老廃物が尿として排泄されます。
尿の生成に関する問題は、近年よく出題されているので要チェックです。



問26 血液に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)血液は、血漿と有形成分から成り、有形成分は赤血球、白血球及び血小板から成っている。
(2)赤血球の寿命は約120日であり、白血球に比べて長い。
(3)血漿中の蛋白質のうち、グロブリンは血液浸透圧の維持に関与し、アルブミンは免疫物質の抗体を含む。
(4)血小板は、核を持たない不定形の細胞で、血液凝固作用に関与している。
(5)血液の凝固は、血漿中のフイブリノーゲン(線維素原)がフィブリン(線維素)に変化する現象である。


答え(3)
(3)は誤り。血漿中の蛋白質のうち、グロブリンは免疫物質の抗体を含みます。つまりグロブリンは、体の中に入ってきた外敵を排除するはたらきを持ちます。
一方、アルブミンは、血漿中に最も多く含まれている蛋白質で、血液の浸透圧を維持する役割を持っています。つまりアルブミンは、血液中の水分の量を調整するはたらきを持ちます。
(1)(2)(4)(5)は正しい。



問27 感覚又は感覚器に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)皮膚感覚には、触圧覚、痛覚、温度感覚(温覚・冷覚)などがあり、これらのうち冷覚を感じる冷覚点の密度は、他の感覚点に比べて大きい。
(2)内耳は、前庭、半規管及び蝸牛から成り、前庭と半規管が平衡感覚をつかさどっている。
(3)網膜には色を感じる杆状体と、明暗を感じる錐状体の2種類の視細胞がある。
(4)眼軸が長過ぎるために、平行光線が網膜の前方で像を結ぶ状態は、遠視眼である。
(5)嗅覚は、わずかな匂いでも感じるほど鋭敏で、同じ臭気に対しても疲労しにくい。


答え(2)
(1)は誤り。皮膚の感覚器官のうち、痛覚を生じる痛覚点の密度は、他の感覚点に比べて大きいことがわかっています。
(2)は正しい。
(3〉は誤り。網膜にある2種類の視細胞のうち、色を感じるのが『錐状体』で、明暗を感じるのが『杆状体』です。
(4)は誤り。眼軸が長過ぎると『近視眼』になります。
(5)は誤り。嗅覚は敏感ではありますが、同じ臭気に対して疲労しやすいことで知られています。



問28 ヒトのホルモン、その内分泌器官及びそのはたらきの組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。

[A]=ホルモン、[B]=内分泌器官、[C]=はたらき
(1)[A]コルチゾール  [B]副甲状腺 [C]血糖量の減少
(2)[A]アルドステロン [B]副腎皮質 [C]体液中の塩類バランスの調節
(3)[A]パラソルモン  [B]副甲状腺 [C]体内のカルシウムバランスの調節
(4)[A]インスリン   [B]膵臓   [C]血糖量の減少
(5)[A]グルカゴン   [B]膵臓   [C]血糖量の増加


答え(1)
(1)は誤り。コルチゾールは副腎皮質から分泌されて、血糖量を増加させる働きを持ちます。
(2)は正しい。副腎皮質は、アルドステロン(体液中の塩類バランスの調節)の他、コルチゾール(血糖量の増加)を分泌します。
(3)は正しい。パラソルモンの分泌異常は、骨粗しょう症の原因になることがあります。
(4)は正しい。インスリンの分泌異常は、糖尿病の原因となります。
(5)は正しい。血液中のグルカゴン量に異常がある場合、膵炎、腎臓障害、肝臓障害、糖尿病など様々な疾病が疑われます。



問29 筋肉に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)筋肉は、神経から送られてくる刺激によって収縮するが、神経に比べて疲労しやすい。
(2)筋収縮には、グリコーゲンやりん酸化合物等のエネルギー源が必要で、特に、直接のエネルギーはATPの加水分解によってまかなわれる。
(3)筋肉中のグリコーゲンは、酸素が十分に供給されると完全に分解され、最後に乳酸になる。
(4)筋肉の長さは変わらないが、外力に抵抗して筋力の発生がある状態を等尺性収縮という。
(5)運動することによって筋肉が太くなることを筋肉の活動性肥大という。


答え(3)
(3)は誤り。筋肉中のグリコーゲンは、酸素が十分に供給されると、大量の『アデノシン三りん酸』と『二酸化炭素』と『水』に完全に分解されます。
乳酸が発生するのは、酸素の供給が不足しているときです。
(1)(2)(4)(5)は正しい。



問30 BMIは肥満度の評価に用いられる指標で、身長と体重から算出されるが、身長170 cm、体重66 kgの人のBMIに最も近い値は次のうちどれか。

(1)23
(2)26
(3)29
(4)33
(5)39


答え(1)
肥満の程度を評価するための指標には、BMI(ボディ・マス・インデックス)が用いられます。
BMIは、体重(kg)を、身長(m)の2乗で割って求めます。身長はm単位で計算することに注意しましょう。計算すると次のようになります。
66 ÷ 1.72 ≒ 22.8
つまり(1)23が正解だとわかります。

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