衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2023年4月) | 衛生管理者 講習会・通信講座

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衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2023年4月)

ここでは、2023年(令和5年)4月公表の過去問のうち「労働衛生:有害(有害業務に係るもの)」の10問について解説いたします。
この過去問は、第1種衛生管理者、特例第1種衛生管理者の試験の範囲です。
なお、第2種衛生管理者試験の範囲には含まれません。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

衛生管理者の過去問の解説:関係法令:有害(2023年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2023年4月)
衛生管理者の過去問の解説:関係法令:一般(2023年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2023年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2023年4月)



問11 化学物質等による疾病のリスクの低減措置について、法令に定められた措置以外の措置を検討する場合、優先度の最も高いものは次のうちどれか。

(1)化学物質等に係る機械設備等の密閉化
(2)化学物質等に係る機械設備等への局所排気装置の設置
(3)作業手順の改善
(4)化学物質等の有害性に応じた有効な保護具の使用
(5)化学反応のプロセス等の運転条件の変更


答え(5)
リスクの低減措置の優先度は、(5)が最も高く、(1)(2)(3)(4)の順となります。
化学反応のプロセス等の運転条件(例えば温度、圧力、濃度など)を変更することで、化学物質の生成、発散が抑えられることが期待できます。



問12 次の化学物質のうち、常温・常圧(25℃、1気圧)の空気中で蒸気として存在するものはどれか。
ただし、蒸気とは、常温・常圧で液体又は固体の物質が蒸気圧に応じて揮発又は昇華して気体となっているものをいうものとする。

(1)塩化ビニル
(2)ジクロロベンジジン
(3)アクリロニトリル
(4)エチレンオキシド
(5)二酸化マンガン


答え(3)
(1)塩化ビニルは、ガスとして存在します。
(2)ジクロロベンジジンは、粉じんとして存在します。
(3)アクリロニトリルは、蒸気として存在します。
(4)エチレンオキシドは、ガスとして存在します。
(5)二酸化マンガンは、粉じんとして存在します。



問13 潜水作業、高圧室内作業などの作業における高圧の影響又は高圧環境下から常圧に戻る際の減圧の影響により、直接には発症しない健康障害は次のうちどれか。

(1)酸素中毒
(2)一酸化炭素中毒
(3)炭酸ガス(二酸化炭素)中毒
(4)窒素酔い
(5)減圧症


答え(2)
(1)(3)(4)(5)は潜水作業、高圧室内作業で発症する健康障害です。
(2)は直接には発症しない。一酸化炭素中毒は、一酸化炭素の吸入による中毒症状で、高圧環境と直接的な関係はありません。



問14 有機溶剤に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)有機溶剤の多くは、揮発性が高く、その蒸気は空気より軽い。
(2)有機溶剤は、脂溶性が低いため、脂肪の多い脳などには入りにくい。
(3)ノルマルヘキサンによる障害として顕著なものには、白血病や皮膚がんがある。
(4)二硫化炭素は、動脈硬化を進行させたり、精神障害を生じさせることがある。
(5)N,N-ジメチルホルムアミドによる障害として顕著なものには、視力低下を伴う視神経障害がある。


答え(4)
(1)は誤り。有機溶剤の多くは、その蒸気が空気より重い(蒸気比重が空気より大きい)です。
(2)は誤り。有機溶剤は脂溶性が高いため、脳に到達しやすいです。
(3)は誤り。ノルマルヘキサンによる障害は、末梢神経障害が特徴で、白血病や皮膚がんの原因とはなりません。
(4)は正しい。二硫化炭素は、動脈硬化精神障害が報告されています。
(5)は誤り。N,N-ジメチルホルムアミドによる障害に、視神経障害の報告はありません。



問15 作業環境における騒音及びそれによる健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)人が聴くことができる音の周波数は、およそ20~20,000Hzである。
(2)音圧レベルは、通常、その音圧と人間が聴くことができる最も小さな音圧(20μPa)との比の常用対数を20倍して求められ、その単位はデシベル(dB)で表される。
(3)等価騒音レベルは、単位時間(1時間)について10分間ごとのピーク値の騒音レベルを平均化した評価値で、変動する騒音に対して適用される。
(4)騒音性難聴では、通常、会話音域より高い音域から聴力低下が始まる。
(5)騒音性難聴は、音を神経に伝達する内耳の聴覚器官の有毛細胞の変性によって起こる。


答え(3)
(1)(2)(4)(5)は正しい。
(3)は誤り。等価騒音レベルは、ある時間範囲について、変動する騒音の騒音レベルをエネルギー的な平均値として表した量です。
単位時間(1時間)について10分間ごとのピーク値の騒音レベルを平均化した評価値ではありません。



問16 作業環境における有害要因による健康障害に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)レイノー現象は、振動工具などによる末梢(しょう)循環障害で、冬期に発生しやすい。
(2)けい肺は、鉄、アルミニウムなどの金属粉じんによる肺の線維増殖性変化で、けい肺結節という線維性の結節が形成される。
(3)金属熱は、鉄、アルミニウムなどの金属を溶融する作業などに長時間従事した際に、高温環境により体温調節機能が障害を受けることにより発生する。
(4)電離放射線による造血器障害は、確率的影響に分類され、被ばく線量がしきい値を超えると発生率及び重症度が線量に対応して増加する。
(5)熱けいれんは、高温環境下での労働において、皮膚の血管に血液がたまり、脳への血液の流れが少なくなることにより発生し、めまい、失神などの症状がみられる。


答え(1)
(1)は正しい。レイノー現象は、振動障害の典型的な症状で、末梢血管の収縮による障害です。
(2)は誤り。けい肺は、二酸化ケイ素(シリカ)粉じんが原因で、鉄やアルミニウム粉じんはけい肺の原因にはなりません。
(3)は誤り。金属熱は、金属蒸気の吸入による一過性の発熱症状で、高温環境は直接関係ありません。
(4)は誤り。電離放射線の造血器障害は、確定的影響であり、確率的影響ではありません。
(5)は誤り。熱けいれんは、筋肉のけいれんが主症状であり、脳血流の減少は直接関係しません。



問17 化学物質による健康障害に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)塩素による中毒では、再生不良性貧血、溶血などの造血機能の障害がみられる。
(2)シアン化水素による中毒では、細胞内の酸素の利用の障害による呼吸困難、けいれんなどがみられる。
(3)弗(ふっ)化水素による中毒では、脳神経細胞が侵され、幻覚、錯乱などの精神障害がみられる。
(4)酢酸メチルによる慢性中毒では、微細動脈瘤(りゅう)を伴う脳卒中などがみられる。
(5)二酸化窒素による慢性中毒では、骨の硬化、斑状歯などがみられる。


答え(2)
(1)は誤り。塩素による中毒は、主な症状は気道刺激や肺水腫で、造血障害はありません。
(2)は正しい。シアン化水素による中毒は、ミトコンドリア機能を阻害し、細胞内呼吸が障害されます。
(3)は誤り。弗化水素による中毒は、骨や歯への影響が主で、精神障害は報告されていません。
(4)は誤り。酢酸メチルによる慢性中毒は、視野狭窄などの視神経障害で脳卒中は見られません。
(5)は誤り。二酸化窒素による慢性中毒は、慢性気管支炎などがあります。



問18 労働衛生保護具に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)ガス又は蒸気状の有害物質が粉じんと混在している作業環境中で防毒マスクを使用するときは、防じん機能を有する防毒マスクを選択する。
(2)防毒マスクの吸収缶の色は、一酸化炭素用は赤色で、有機ガス用は黒色である。
(3)送気マスクは、清浄な空気をボンベに詰めたものを空気源として作業者に供給する自給式呼吸器である。
(4)遮光保護具には、遮光度番号が定められており、溶接作業などの作業の種類に応じて適切な遮光度番号のものを使用する。
(5)騒音作業における聴覚保護具(防音保護具)として、耳覆い(イヤーマフ)又は耳栓のどちらを選ぶかは、作業の性質や騒音の特性で決まるが、非常に強烈な騒音に対しては両者の併用も有効である。


答え(3)
(1)(2)(4)(5)は正しい。
(3)は誤り。送気マスクは、清浄な空気をパイプ、ホースにより作業者に供給する給気式の呼吸用保護具です。
また、ボンベに詰めたものを空気源としているのが、自給式呼吸器です。



問19 特殊健康診断に関する次の文中の[  ]内に入れるAからCの語句の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。

「特殊健康診断において有害物の体内摂取量を把握する検査として、生物学的モニタリングがあり、スチレンについては、尿中の[ A ]及びフェニルグリオキシル酸の総量を測定し、[ B ]については、[ C ]中のデルタアミノレブリン酸の量を測定する。」

(1)A:馬尿酸     B:鉛     C:尿
(2)A:馬尿酸     B:水銀    C:血液
(3)A:メチル馬尿酸  B:鉛     C:血液
(4)A:マンデル酸   B:水銀    C:血液
(5)A:マンデル酸   B:鉛     C:尿


答え(5)
スチレンの指標は、尿中のマンデル酸及びフェニルグリオキシル酸の総量を測定します。
の指標は、尿中デルタアミノレブリン酸を測定します。



問20 局所排気装置に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)ダクトの形状には円形、角形などがあり、その断面積を大きくするほど、ダクトの圧力損失が増大する。
(2)フード開口部の周囲にフランジがあると、フランジがないときに比べ、気流の整流作用が増すため、大きな排風量が必要となる。
(3)キャノピ型フードは、発生源からの熱による上昇気流を利用して捕捉するもので、レシーバ式フードに分類される。
(4)スロット型フードは、作業面を除き周りが覆われているもので、囲い式フードに分類される。
(5)空気清浄装置を付設する局所排気装置を設置する場合、排風機は、一般に、フードに接続した吸引ダクトと空気清浄装置の間に設ける。


答え(3)
(1)は誤り。ダクトの断面積が大きいほど、ダクトの圧力損失が減少します。
(2)は誤り。フランジにより、フードの効果が高くなり、フランジがない時に比べて少ない排風量で効果を発揮できます。
(3)は正しい。キャノピ型フードは、上昇気流を利用するレシーバ式フードの一つです。
(4)は誤り。スロット型フードは、外付け式フードに分類されます。
(5)は誤り。一般に、空気清浄装置のあとに排風機を設けます。

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