知って得する衛生管理者の基本情報
衛生管理者は一生ものの免許
衛生管理者は、厚生労働省が定める国家資格のひとつです。常時労働者数が50人以上になった会社は、衛生管理者という役職の人を1人以上選任しなければなりません。このことは、労働安全衛生法という法律で定められています。
衛生管理者試験に合格して、免許証を受け取ると今の制度では更新は必要ありません。つまり、一生ものの免許証になるのです。
ただし、企業の衛生管理者として活躍するのであれば、能力向上のための教育を定期的に受ける必要があります。世の中の産業は常に変化していますので、新しい情報を取り入れ、あなたの職場に反映させて行かなければなりません。
2種類の免許
衛生管理者の免許には次の2種類あります。
・第二種衛生管理者免許(以下、第二種の免許)
分かりやすく言うと、第一種が上級、第二種が初級みたいなものになります。それぞれの免許には、実用性に違いがあります。
第一種の免許を所有している人であれば、全ての業種の事業場で衛生管理者として選任することができます。建設業、運送業、製造業、医療業、銀行、商社、旅館、スーパーマーケットなど全てです。
しかし、第二種の免許を所有している人の場合、限られた業種の事業場でしか、衛生管理者として選任することができません。
たとえば、建設業、運送業、製造業、医療業など有害性が高い業種では、第二種の免許を持っている人でも、衛生管理者として選任することができません。
すなわち銀行、商社、旅館、スーパーマーケットなどの業種であれば、第二種の免許を持っている人を、衛生管理者として選任することができるのです。
3種類の試験
これらの免許を取得するには、原則として試験を受けて合格する必要があります。衛生管理者の試験には次の3種類があります。
・第二種衛生管理者試験(以下、第二種の試験)
・特例第一種衛生管理者試験(以下、特例第一種の試験)
第一種の試験は、第一種の免許を取得するための試験です。
第二種の試験は、第二種の免許を取得するための試験です。
特例第一種の試験は、第二種の免許を持っている人が受けられる試験です。
試験は、全国に7箇所ある試験センターで、ひと月に1~4回ほど行われています。このように頻繁に行われているので、受験するチャンスはたくさんあるでしょう。
しかし、試験センターは、いずれも都市部から少し離れたところにありますので交通の便が悪いのも事実。ですから、試験センター以外にも、各都道府県で出張試験が行われています。こちらは1年に1回ほど開催されています。
お住まいの地域の出張試験の日程に合わせて、勉強を始める方もたくさんいらっしゃいますね。
5種類の試験科目
衛生管理者の試験科目には、大きく分けて「関係法令」「労働衛生」「労働生理」の3つがあります。
「関係法令」では、労基法、労衛法など衛生管理に関係のある法律について問われます。
「労働衛生」では、衛生管理を遂行する上で知っておくべき知識、約束事について問われます。
「労働生理」では、ヒトの体の仕組みや役割について問われます。
さらに、「関係法令」と「労働衛生」には、「有害業務に係るもの」と「有害業務に係るもの以外のもの」の2種類があります。つまり、衛生管理者の試験科目は、全部で5種類あるのです。
ちなみに「係る」という文字は、あまり馴染みが無いかもしれません。これは、「かかる」と読んで、「関係する」という意味の法令用語です。
ところで「有害業務に係るもの」と「有害業務に係るもの以外のもの」って、なんか堅苦しくて意味が分かりにくいですよね。これを分かりやすく別の言い方をすると、次のようになります。
・「有害業務に係るもの以外のもの」「事務などの一般的な業務に関係するもの」
では、有害業務にはどのようのものがあるのでしょうか。「有害業務」とは、放射線など有害エネルギーが発生する場所での業務、有機溶剤などの薬品の取り扱い業務などのことをいいます。他にも、酸素欠乏症などが起こりうる場所での業務、有害粉じんや有害金属を取り扱うような業務など幅が広いです。
第一種の試験科目
ここからは、各試験の科目について見ていきましょう。まず、第一種の試験科目は次の5科目です。
2.労働衛生(有害業務に係るもの)
3.関係法令(有害業務に係るもの以外のもの)
4.労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)
5.労働生理
第二種の試験科目
次に、第二種の試験科目についてです。第二種の試験科目は次の3科目です。
2.労働衛生(有害業務に係るものを除く。)
3.労働生理
特例第一種の試験科目
最後に、特例第一種の試験科目を確認していきましょう。特例第一種の試験科目は次の2科目です。
2.労働衛生(有害業務に係るものに限る。)
科目数からみた戦略
上で見たように、第一種の試験がもっとも科目数が多く、すべての範囲から出題されることなっています。そのため第二種の試験に比べると、第一種の試験の方が難易度が高く合格率は低くなります。
試験範囲でいえば、第一種は、第二種の2倍ほどあります。「最終目標が第一種の免許の取得だけれど難しそうだなぁ。」と思われる方もいるでしょう。
そういう場合は、特例第一種の試験を視野に入れましょう。まずは第二種の免許を取得し、その後特例第一種の試験に合格して、第一種の免許を取得するのです。
特例第一種の試験科目は、第二種の試験科目を差し引いたものになります。ですから、1回の試験で求められる知識量が少なくなります。
要するに、特例第一種の試験では、試験範囲が比較的狭いので、試験に合格しやすくなるということです。このように、段階的に受験することで、第一種の免許取得の確実性が増します。ぜひあなたに合った受験計画を考えてみてくださいね。
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