衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2021年4月) | 衛生管理者 講習会・通信講座

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衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2021年4月)

ここでは、2021年(令和3年)4月公表の過去問のうち「労働衛生:一般(有害業務に係るもの以外のもの)」の10問について解説いたします。
この過去問は、第1種衛生管理者、第2種衛生管理者の試験の範囲です。
なお、特例第1種衛生管理者試験の範囲には含まれません。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

衛生管理者の過去問の解説:関係法令:有害(2021年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2021年4月)
衛生管理者の過去問の解説:関係法令:一般(2021年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2021年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2021年4月)



問11 事務室内において、空気を外気と入れ換えて二酸化炭素濃度を1,000ppm以下に保った状態で、在室することのできる最大の人数は次のうちどれか。
ただし、外気の二酸化炭素濃度を400ppm、外気と入れ換える空気量を500m3/h、1人当たりの呼出二酸化炭素量を0.018m3/hとする。

(1)14 人
(2)16 人
(3)18 人
(4)20 人
(5)22 人


答え(2)
作業場内で衛生管理上、入れ替える必要がある空気量を必要換気量と言い、1時間の空気量で表します。
必要換気量の計算式は次の通りです。

問11式

「在室することのできる最大の人数」をNとすると、次のような算出式となります。

500[m3/h]=0.018N[m3/h]÷(1,000[ppm]- 400[ppm])×1,000,000

0.018N×1,000,000=500×600

18,000N=300,000

N=16.6…

したがって、「在室することのできる最大の人数」は、(2)16人となります。



問12 温熱条件に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)温度感覚を左右する環境条件は、気温、湿度、気流及びふく射(放射)熱の四つの要素によって決まる。
(2)実効温度は、人の温熱感に基礎を置いた指標で、気温、湿度及び気流の総合効果を温度目盛りで表したものである。
(3)相対湿度は、乾球温度と湿球温度によって求められる。
(4)太陽照射がない場合のWBGTは、乾球温度と黒球温度から求められる。
(5)WBGT値がその基準値を超えるおそれのあるときには、冷房などによりWBGT値を低減すること、代謝率レベルの低い作業に変更することなどの対策が必要である。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。屋内の場合及び屋外で太陽照射のない場合は、WBGT値は自然湿球温度及び黒球温度の値から算出されます。



問13 照明などの視環境に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)前方から明かりを取るときは、眼と光源を結ぶ線と視線とで作る角度を40°程度としている。
(2)照明設備については、6か月以内ごとに1回、定期に点検し、汚れなどがあれば清掃又は交換を行っている。
(3)全般照明と局部照明を併用する場合、全般照明による照度は、局部照明による照度の5分の1程度にしている。
(4)照度の単位はルクスで、1ルクスは光度1カンデラの光源から10m離れた所で、その光の光軸に垂直な1m2の面が受ける明るさに相当する。
(5)室内の彩色で、明度を高くすると光の反射率が高くなり照度を上げる効果があるが、彩度を高くしすぎると交感神経の緊張により疲労を招きやすい。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。照度の単位はルクスで、1ルクスは光度1カンデラの光源から1m離れた所で、その光に直角な面が受ける明るさに相当します。



問14 厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に基づくメンタルヘルスケアの実施に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)心の健康については、客観的な測定方法が十分確立しておらず、また、心の健康問題の発生過程には個人差が大きく、そのプロセスの把握が難しいという特性がある。
(2)心の健康づくり計画の実施に当たっては、メンタルヘルス不調を早期に発見する「一次予防」、適切な措置を行う「二次予防」及びメンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰支援を行う「三次予防」が円滑に行われるようにする必要がある。
(3)労働者の心の健康は、職場配置、人事異動、職場の組織などの要因によって影響を受けるため、メンタルヘルスケアは、人事労務管理と連携しなければ、適切に進まない場合が多いことに留意する。
(4)労働者の心の健康は、職場のストレス要因のみならず、家庭・個人生活などの職場外のストレス要因の影響を受けている場合も多いことに留意する。
(5)メンタルヘルスケアを推進するに当たって、労働者の個人情報を主治医等の医療職や家族から取得する際には、あらかじめこれらの情報を取得する目的を労働者に明らかにして承諾を得るとともに、これらの情報は労働者本人から提出を受けることが望ましい。


答え(2)
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は不適切。心の健康づくり計画の実施に当たっては、ストレスチェック制度の活用や職場環境等の改善を通じて、メンタルヘルス不調を未然に防止する一次予防、メンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な措置を行う二次予防及びメンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰を支援等を行う三次予防が円滑に行われるようにする必要があります。



問15 労働者の健康保持増進のために行う健康測定における運動機能検査の項目とその測定種目との組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。

(1)筋力 ……………… 握力
(2)柔軟性 …………… 上体起こし
(3)平衡性 …………… 閉眼(又は開眼)片足立ち
(4)敏しょう性 ……… 全身反応時間
(5)全身持久性 ……… 最大酸素摂取量


答え(2)
労働者の健康の保持増進のための活動における健康測定の項目のひとつに運動機能検査があります。
その検査項目と種目として筋力は握力や上体起こし、柔軟性は立位体前屈や座位体前屈、平衡性は閉眼片足立ち、敏捷性は全身反応時間、全身持久性は自転車エルゴメーターによる最大酸素摂取量間接測定法で測定を行います。



問16 厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)ディスプレイ画面上における照度は、500ルクス以下となるようにしている。
(2)書類上及びキーボード上における照度は、300ルクス以上となるようにしている。
(3)ディスプレイ画面の位置、前後の傾き、左右の向き等を調整してグレアを防止している。
(4)ディスプレイは、おおむね30cm以内の視距離が確保できるようにし、画面の上端を眼の高さよりもやや下になるように設置している。
(5)1日の情報機器作業の作業時間が4時間未満である労働者については、自覚症状を訴える者についてのみ、情報機器作業に係る定期健康診断の対象としている。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は適切。
(4)は適切でない。ディスプレイは、おおむね40cm以上の視距離が確保できるようにし、画面の上端が、眼と同じ高さか、やや下になるようにします。



問17 出血及び止血法並びにその救急処置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)体内の全血液量は、体重の約13分の1で、その約3分の1を短時間に失うと生命が危険な状態となる。
(2)傷口が泥で汚れているときは、手際良く水道水で洗い流す。
(3)止血法には、直接圧迫法、間接圧迫法などがあるが、一般人が行う応急手当としては直接圧迫法が推奨されている。
(4)毛細血管性出血は、浅い切り傷のときにみられ、傷口からゆっくり持続的に湧き出るような出血である。
(5)止血帯を施した後、受傷者を医師に引き継ぐまでに30分以上かかる場合には、止血帯を施してから30分ごとに1~2分間、出血部から血液がにじんでくる程度まで結び目をゆるめる。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。毛細血管性出血は、擦り傷など傷口から少しずつにじみ出るような出血です。



問18 一次救命処置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)傷病者に反応がある場合は、回復体位をとらせて安静にして、経過を観察する。
(2)一次救命処置は、できる限り単独で行うことは避ける。
(3)口対口人工呼吸は、傷病者の鼻をつまみ、1回の吹き込みに3秒以上かけて傷病者の胸の盛り上がりが見える程度まで吹き込む。
(4)胸骨圧迫は、胸が約5cm沈む強さで、1分間に100~120回のテンポで行う。
(5)AED(自動体外式除細動器)による心電図の自動解析の結果、「ショックは不要です」などのメッセージが流れた場合には、すぐに胸骨圧迫を再開し心肺蘇(そ)生を続ける。


答え(3)
(1)(2)(4)(5)は正しい。
(3)は誤り。口対口人工呼吸は、気道確保できた状態のまま、傷病者の鼻をつまみ空気が漏れないようにし、1回の息の吹き込みに約1秒かけて、傷病者の胸が上がるのが見てわかる程度の量の息を吹き込みます。
3秒のように時間を掛けて、過剰な換気をすることは、むしろ有害とされています。
また、人工呼吸による胸骨圧迫の中断を考慮すれば吸気時間は短いほうがよいという考えもあります。
さて、一次救命処置については、AHA(アメリカ心臓協会)が科学的な根拠に基づき心肺蘇生法に関する指針を見直してガイドライン2005を発表しました。
それを受けて日本においても救急蘇生ガイドラインが大きく改訂されました(2006年)。
その後、JRC(日本蘇生協議会)と日本救急医療財団により「JRC蘇生ガイドライン2015」が策定されています(2016年)。
このガイドラインは、最新のデータに基づき定期的に見直されるでしょう。



問19 細菌性食中毒に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)サルモネラ菌による食中毒は、食品に付着した菌が食品中で増殖した際に生じる毒素により発症する。
(2)ボツリヌス菌による毒素は、神経毒である。
(3)黄色ブドウ球菌による毒素は、熱に強い。
(4)腸炎ビブリオ菌は、病原性好塩菌ともいわれる。
(5)セレウス菌及びカンピロバクターは、いずれも細菌性食中毒の原因菌である。


答え(1)
(1)は誤り。サルモネラ菌は、感染型食中毒で、食物に付着した細菌そのものの感染によって起こる食中毒です。
(2)(3)(4)(5)は正しい。



問20 厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」に基づく、重量物取扱い作業における腰痛予防対策に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)労働者全員に腰部保護ベルトを使用させる。
(2)取り扱う物の重量をできるだけ明示し、著しく重心の偏っている荷物は、その旨を明示する。
(3)重量物を取り扱うときは、急激な身体の移動をなくし、前屈やひねり等の不自然な姿勢はとらず、かつ、身体の重心の移動を少なくする等、できるだけ腰部に負担をかけない姿勢で行う。
(4)重量物を持ち上げるときには、できるだけ身体を対象物に近づけ、重心を低くするような姿勢をとる。
(5)重量物取扱い作業に常時従事する労働者に対しては、当該作業に配置する際及びその後6か月以内ごとに1回、定期に、医師による腰痛の健康診断を行う。


答え(1)
(1)は誤り。腰部保護ベルトについては、一律に使用させるのではなく、労働者ごとに効果を確認してから使用の適否を判断します。
(2)(3)(4)(5)は正しい。

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