衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2024年10月) | 衛生管理者 講習会・通信講座

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衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2024年10月)

ここでは、2024年(令和6年)10月公表の過去問のうち「労働衛生:一般(有害業務に係るもの以外のもの)」の10問について解説いたします。
この過去問は、第1種衛生管理者、第2種衛生管理者の試験の範囲です。
なお、特例第1種衛生管理者試験の範囲には含まれません。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

衛生管理者の過去問の解説:関係法令:有害(2024年10月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2024年10月)
衛生管理者の過去問の解説:関係法令:一般(2024年10月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2024年10月)
衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2024年10月)



問11 事務室内において、空気を外気と入れ換えて二酸化炭素濃度を1,000ppm以下に保った状態で、在室することのできる最大の人数は次のうちどれか。
ただし、外気の二酸化炭素濃度を400ppm、外気と入れ換える空気量を600m3/h、1人当たりの呼出二酸化炭素量を0.015m3/hとする。

(1)18人
(2)20人
(3)22人
(4)24人
(5)26人


答え(4)
作業場内で衛生管理上、入れ替える必要がある空気量を必要換気量と言い、1時間の空気量で表します。
必要換気量の計算式は次の通りです。

問11式

「在室することのできる最大の人数」をNとすると、次のような算出式となります。

600[m3/h]=0.015N[m3/h]÷(1,000[ppm]- 400[ppm])×1,000,000

0.015N×1,000,000=600×600

15,000N=360,000

N=24

したがって、「在室することのできる最大の人数」は、(4)24人となります。



問12 温熱条件に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)温度感覚を左右する環境要素は、気温、湿度及び気流であり、この三要素によって温熱環境が定まる。
(2)実効温度は、人の温熱感に基礎を置いた指標で、気温、湿度及び気流の総合効果を温度目盛りで表したものである。
(3)相対湿度は、空気中の水蒸気量と、その温度における飽和水蒸気量との比を百分率で示したものである。
(4)WBGTは、暑熱環境による熱ストレスの評価に用いられる指標で、日射がない場合は、自然湿球温度と黒球温度の測定値から算出される。
(5)WBGT基準値は、暑熱順化者に用いる値の方が、暑熱非順化者に用いる値より大きな値となる。


答え(1)
(2)(3)(4)(5)は正しい。
(1)は誤り。温度感覚を左右する環境条件は、気温湿度気流およびふく射熱4つの要素によって決まります。



問13 厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」に基づく措置に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)ディスプレイは、おおむね50cmの視距離が確保できるようにしている。
(2)間接照明の照明器具を用いてグレアを防ぐようにしている。
(3)一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に5分の作業休止時間を設けている。
(4)情報機器作業に係る定期健康診断は、1年以内ごとに1回、定期に実施している。
(5)1日の情報機器作業の作業時間が4時間未満である労働者については、自覚症状を訴える者についてのみ、情報機器作業に係る定期健康診断の対象としている。


答え(3)
(1)(2)(4)(5)は適切。
(3)は不適切。一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分~15分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1回~2回程度の小休止を設けるようにします。5分の作業休止時間では、不十分です。



問14 厚生労働省の「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」において、快適な職場環境の形成のための措置の実施に関し、考慮すべき事項とされていないものは次のうちどれか。

(1)潤いへの配慮
(2)個人差への配慮
(3)労働者の意見の反映
(4)継続的かつ計画的な取組
(5)快適な職場環境の基準値の達成


答え(5)
(1)(2)(3)(4)は適切。
(5)は考慮すべき事項とされていない。この「快適職場指針」では、基準値の達成そのものが目的ではなく、職場環境の改善に継続的に取り組むことが重要視されています。



問15 厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」に基づく腰痛予防対策に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)作業動作、作業姿勢についての作業標準の策定は、その作業に従事する全ての労働者に一律な作業をさせることになり、個々の労働者の腰痛の発生要因の排除又は低減ができないため、腰痛の予防対策としては適切ではない。
(2)介護・看護作業に常時従事する労働者に対しては、当該作業に配置する際及びその後6か月以内ごとに1回、定期に、医師による腰痛の健康診断を行う。
(3)重量物取扱い作業の場合、満18歳以上の男性労働者が人力のみにより取り扱う物の重量は、体重のおおむね40%以下とする。
(4)重量物取扱い作業の場合、満18歳以上の女性労働者が人力のみにより取り扱う物の重量は、男性が取り扱うことのできる重量の60%位までとする。
(5)床面などから荷物を持ち上げる場合には、片足を少し前に出し、膝を曲げ、腰を十分に降ろして当該荷物をかかえ、膝を伸ばすことによって立ち上がるようにする。


答え(1)
(2)(3)(4)(5)は正しい。
(1)は誤り。作業動作や作業姿勢に関する標準を策定することは、腰痛の発生要因を減らすために非常に効果的な対策です。



問16 厚生労働省の「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

(1)経営トップ自らが、高齢者労働災害防止対策に取り組む姿勢を示し、企業全体の安全意識を高めるため、高齢者労働災害防止対策に関する事項を盛り込んだ安全衛生方針を表明する。
(2)高齢者労働災害防止対策には、事業場全体で取り組むことが重要であることから、対策を推進するための特定の部署や担当者を指定することは避けるようにする。
(3)身体機能が低下した高年齢労働者であっても安全に働き続けることができるよう、事業場の施設、設備、装置等の改善を行うが、危険を知らせるための警報音等は、年齢によらず聞き取りやすい高音域の音を採用するとよい。
(4)高年齢労働者が自らの身体機能の維持向上に取り組めるよう、高年齢労働者を対象とした体カチェックを継続的に行うことが望ましいが、個々の労働者に対する不利益につながるおそれがあることから、体カチェックの評価基準は設けないようにする。
(5)高年齢労働者は、十分な経験を有しているため、改めて安全衛生教育を行うことは高年齢労働者の自尊心を損なうおそれがあるばかりでなく、長時間にわたり教育を行うことは身体面の負担が大きいことから、最小限の時間と内容で行うことが望ましい。


答え(1)

(1)は適切。高齢者労働災害防止には経営トップの積極的な関与が重要であり、企業全体の安全意識を高めるために方針を表明することが推奨されています。

(2)は不適切。高齢者労働災害防止対策に取り組む組織や担当者を指定する等により、高齢者労働災害防止対策の実施体制を明確化することとされています。

(3)は不適切。警報音等は、年齢によらず聞き取りやすい中低音域の音を採用する、音源の向きを適切に設定する、指向性スピーカーを用いる等の工夫をすることとされています。

(4)は不適切。事業場の働き方や作業ルールにあわせた体力チェックを実施しますが、安全作業に必要な体力について定量的に測定する手法及び評価基準は安全衛生委員会等の審議を踏まえてルール化することが望ましいとされています。

(5)は不適切。労働安全衛生法で定める雇入れ時等の安全衛生教育、一定の危険有害業務において必要となる技能講習や特別教育を確実に行うこととされています。



問17 脳血管障害及び虚血性心疾患に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)出血性の脳血管障害は、脳表面のくも膜下腔(くう)に出血するくも膜下出血、脳実質内に出血する脳出血などに分類される。
(2)虚血性の脳血管障害である脳梗塞は、脳血管自体の動脈硬化性病変による脳塞栓症と、心臓や動脈壁の血栓が剥がれて脳血管を閉塞する脳血栓症に分類される。
(3)虚血性心疾患は、冠動脈による心筋への血液の供給が不足したり途絶えることにより起こる心筋障害である。
(4)心筋梗塞では、突然激しい胸痛が起こり、「締め付けられるように痛い」、「胸が苦しい」などの症状が、1時間以上続くこともある。
(5)運動負荷心電図検査は、虚血性心疾患の発見に有用である。


答え(2)
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は誤り。脳血栓症が脳血管自体の動脈硬化性病変によるもので、脳塞栓症が心臓などでできた血栓が脳血管を閉塞するものです。



問18 感染症に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)感染が成立し、症状が現れるまでの人をキャリアといい、感染したことに気付かずに病原体をばらまく感染源になることがある。
(2)インフルエンザウイルスにはA型、B型及びC型の三つの型があるが、流行の原因となるのは、主として、A型及びB型である。
(3)インフルエンザ発症後のウイルスの排出期間は、一般的に7日間程度であるが、この間、排出されるウイルスの量は、解熱してもほとんど変化しない。
(4)結核は、初期症状は風邪とよく似ているが、2週間以上続く咳(せき)や痰(たん)及び微熱や倦(けん)怠感がある。
(5)風しんは、発熱、発疹(しん)、リンパ節腫脹(ちょう)を特徴とするウイルス性発疹(しん)症で、免疫のない女性が妊娠初期に風しんにかかると、胎児に感染し出生児が先天性風しん症候群(CRS)となる危険性がある。


答え(3)
(1)(2)(4)(5)は正しい。
(3)は誤り。一般的に、インフルエンザを発症してから7日間はウイルスを排出するといわれています。
排出期間の長さには個人差がありますが、排出されるウイルス量は、解熱とともに減少します。



問19 食中毒に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)腸炎ビブリオ菌は、熱に強い。
(2)サルモネラ菌による食中毒は、鶏卵が原因となることがある。
(3)黄色ブドウ球菌による食中毒は、食品に付着した菌が食品中で増殖した際に生じる毒素により発症する。
(4)ウェルシュ菌、セレウス菌及びカンピロバクターは、いずれも細菌性食中毒の原因菌である。
(5)ノロウイルスによる食中毒は、冬季に集団食中毒として発生することが多く、潜伏期間は、1~2日間である。


答え(1)
(2)(3)(4)(5)は正しい。
(1)は誤り。腸炎ビブリオ菌は、真水や熱に弱いので、魚介類は流水でよく洗って加熱処理すれば、感染を防止することができます。



問20 出血及び止血法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)体内の全血液量は、体重の約8%で、その約3分の1を短時間に失うと生命が危険な状態となる。
(2)静脈性出血は、擦り傷のときにみられ、傷口から少しずつにじみ出るような出血である。
(3)止血を行うときは、受傷者の血液による処置者への感染防止のため、ビニール手袋を着用したりビニール袋を活用するようにする。
(4)止血法には、直接圧迫法、間接圧迫法などがあるが、一般人が行う応急手当としては直接圧迫法が推奨されている。
(5)間接圧迫法は、出血部位より心臓に近い部位の動脈を圧迫する方法で、止血点を指で骨に向けて強く圧迫する。


答え(2)
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は誤り。静脈性出血は、傷口からゆっくり持続的に湧き出るような出血です。
擦り傷のときにみられ、傷口から少しずつにじみ出るような出血は、毛細血管性出血です。

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