衛生管理者の過去問の解説:関係法令:一般(2022年4月) | 衛生管理者 講習会・通信講座

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衛生管理者の過去問の解説:関係法令:一般(2022年4月)

ここでは、2022年(令和4年)4月公表の過去問のうち「関係法令:一般(有害業務に係るもの以外のもの)」の10問について解説いたします。
この過去問は、第1種衛生管理者、第2種衛生管理者の試験の範囲です。
なお、特例第1種衛生管理者試験の範囲には含まれません。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

衛生管理者の過去問の解説:関係法令:有害(2022年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2022年4月)
衛生管理者の過去問の解説:関係法令:一般(2022年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2022年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2022年4月)



問1 事業場の衛生管理体制に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
ただし、衛生管理者及び産業医の選任の特例はないものとする。

(1)常時200人以上の労働者を使用する各種商品小売業の事業場では、総括安全衛生管理者を選任しなければならない。
(2)常時1,000人を超え2,000人以下の労働者を使用する事業場では、4人以上の衛生管理者を選任しなければならない。
(3)常時50人以上の労働者を使用する通信業の事業場では、第二種衛生管理者免許を受けた者のうちから衛生管理者を選任することができる。
(4)2人以上の衛生管理者を選任する場合、そのうち1人についてはその事業場に専属でない労働衛生コンサルタントのうちから選任することができる。
(5)常時700人の労働者を使用し、そのうち深夜業を含む業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場では、その事業場に専属の産業医を選任しなければならない。


答え(1)
(1)は誤り。各種商品小売業の事業場では、常時300人以上の労働者を使用する場合、総括安全衛生管理者を選任しなければなりません。「200人以上」は誤りです。
(2)(3)(4)(5)は正しい。

【衛生管理者の選任数のポイント】
ここではもっとも基本的な衛生管理者の選任数についてまとめておきます。
左側の数字が「常時使用する労働者数」で、右側の数字が「衛生管理者の選任数」です。
○50人以上200人以下 → 1人以上
○200人を超え500人以下 → 2人以上
○500人を超え1000人以下 → 3人以上
○1000人を超え2000人以下 → 4人以上
○2000人を超え3000人以下 → 5人以上
○3000人を超える場合 → 6人以上



問2 衛生委員会に関する次の記述のうち、法令上、正しいものはどれか。

(1)衛生委員会の議長は、衛生管理者である委員のうちから、事業者が指名しなければならない。
(2)衛生委員会の議長を除く委員の半数は、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者が指名しなければならない。
(3)衛生管理者として選任しているが事業場に専属でない労働衛生コンサルタントを、衛生委員会の委員として指名することはできない。
(4)衛生委員会の付議事項には、労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関することが含まれる。
(5)衛生委員会は、毎月1回以上開催するようにし、議事で重要なものに係る記録を作成して、これを5年間保存しなければならない。


答え(4)
(1)は誤り。衛生委員会の議長は、総括安全衛生管理者、または総括安全衛生管理者の選任を要しない事業場では総括安全衛生管理者以外の者で、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者、もしくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者とされています。
(2)は誤り。事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、衛生委員会の議長以外の委員の半数については、労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければなりません。
(3)は誤り。衛生管理者は、その事業場に専属かどうか関係なく、衛生委員会の委員として指名することができます。
(4)は正しい。衛生委員会の付議事項には、労働者の精神的健康の保持増進やストレス管理、メンタルヘルスに関する対策が含まれています。
(5)は誤り。衛生委員会は毎月1回以上開催することが求められていますが、議事録の保存期間は3年間です。したがって、5年間保存するという記述は誤りです。



問3 総括安全衛生管理者又は産業医に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
ただし、産業医の選任の特例はないものとする。

(1)総括安全衛生管理者は、事業場においてその事業の実施を統括管理する者をもって充てなければならない。
(2)都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、総括安全衛生管理者の業務の執行について事業者に勧告することができる。
(3)総括安全衛生管理者が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によって職務を行うことができないときは、代理者を選任しなければならない。
(4)産業医は、衛生委員会を開催した都度作成する議事概要を、毎月1回以上、事業者から提供されている場合には、作業場等の巡視の頻度を、毎月1回以上から2か月に1回以上にすることができる。
(5)事業者は、産業医から労働者の健康管理等について勧告を受けたときは、当該勧告の内容及び当該勧告を踏まえて講じた措置の内容(措置を講じない場合にあっては、その旨及びその理由)を記録し、これを3年間保存しなければならない。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。産業医が、事業者から、毎月1回以上、「労働者の健康障害を防止し、または労働者の健康を保持するために必要な情報であって、衛生委員会または安全衛生委員会における調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの」等の提供を受けている場合であって、事業者の同意を得ているときは、産業医の作業場等の巡視の頻度を、毎月1回以上から2か月に1回以上にすることができます。
ただ単に、衛生委員会の議事が事業者から提供されているだけでは、産業医の作業場等の巡視の頻度を変更することはできません。



問4 労働安全衛生規則に基づく医師による雇入時の健康診断に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)医師による健康診断を受けた後3か月を経過しない者を雇い入れる場合、その健康診断の結果を証明する書面の提出があったときは、その健康診断の項目に相当する雇入時の健康診断の項目は省略することができる。
(2)雇入時の健康診断では、40歳未満の者について医師が必要でないと認めるときは、貧血検査、肝機能検査等一定の検査項目を省略することができる。
(3)事業場において実施した雇入時の健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者については、その結果に基づき、健康を保持するために必要な措置について、健康診断が行われた日から3か月以内に、医師の意見を聴かなければならない。
(4)雇入時の健康診断の結果に基づき、健康診断個人票を作成して、これを5年間保存しなければならない。
(5)常時50人以上の労働者を使用する事業場であっても、雇入時の健康診断の結果については、所轄労働基準監督署長に報告する必要はない。


答え(2)
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は誤り。雇入時の健康診断では、原則、貧血検査、肝機能検査を省略することはできません



問5 事業場の建築物、施設等に関する措置について、労働安全衛生規則の衛生基準に違反していないものは次のうちどれか。

(1)日常行う清掃のほか、1年以内ごとに1回、定期に、統一的に大掃除を行っている。
(2)男性25人、女性25人の労働者を常時使用している事業場で、労働者が臥(が)床することのできる休養室又は休養所を男性用と女性用に区別して設けていない。
(3)60人の労働者を常時就業させている屋内作業場の気積が、設備の占める容積及び床面から4mを超える高さにある空間を除き、500m3となっている。
(4)事業場に附属する食堂の床面積を、食事の際の1人について、0.8m2としている。
(5)労働衛生上の有害業務を有しない事業場において、窓その他の開口部の直接外気に向かって開放することができる部分の面積が、常時床面積の15分の1である屋内作業場に、換気設備を設けていない。


答え(5)
(1)は違反している。大掃除は、6か月以内ごとに1回、定期に行わなければなりません。
(2)は違反している。常時50人以上または常時女性30人以上の労働者を使用するときは、労働者が臥床する(横になる)ことのできる休養室または休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければなりません。
(3)は違反している。気積は、1人につき10m3以上としなければなりません。「500m3÷60人≒8.3m3/人」となり、衛生基準を満たしていません。
(4)は違反している。事業場に附属する食堂の床面積は、食事の際の1人について、1m2以上としなければなりません。
(5)は違反していない。労働衛生上の有害業務がない場合、開口部の面積が床面積の15分の1以上あれば、換気設備の設置義務はありません。



問6 雇入れ時の安全衛生教育に関する次の記述のうち、法令上、正しいものはどれか。

(1)常時使用する労働者が10人未満である事業場では、教育を省略することができる。
(2)1か月以内の期間を定めて雇用する者については、危険又は有害な業務に従事する者を除き、教育を省略することができる。
(3)飲食店の事業場においては、教育事項のうち、「作業手順に関すること」については省略することができる。
(4)旅館業の事業場においては、教育事項のうち、「作業開始時の点検に関すること」については省略することができる。
(5)教育を行ったときは、教育の受講者、教育内容等の記録を作成して、これを1年間保存しなければならない。


答え(3)
(1)は誤り。事業場の規模による教育の省略は、認められていません。
(2)は誤り。雇用期間の長さによって、教育を省略することはできません。
(3)は正しい。
(4)は誤り。旅館業、通信業や各種商品卸売業などの事業場においては、「作業開始時の点検に関すること」についての教育を省略することはできません。
(5)は誤り。雇入れ時の安全衛生教育の教育記録の作成と保存は、法令上、義務付けられていません。



問7 労働安全衛生法に基づく労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査(以下「ストレスチェック」という。)及びその結果等に応じて実施される医師による面接指導に関する次の記述のうち、法令上、正しいものはどれか。

(1)常時50人以上の労働者を使用する事業場においては、6か月以内ごとに1回、定期に、ストレスチェックを行わなければならない。
(2)事業者は、ストレスチェックの結果が、衛生管理者及びストレスチェックを受けた労働者に通知されるようにしなければならない。
(3)労働者に対して行うストレスチェックの事項は、「職場における当該労働者の心理的な負担の原因」、「当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状」及び「職場における他の労働者による当該労働者への支援」に関する項目である。
(4)事業者は、ストレスチェックの結果、心理的な負担の程度が高い労働者全員に対し、医師による面接指導を行わなければならない。
(5)事業者は、医師による面接指導の結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を作成して、これを3年間保存しなければならない。


答え(3)
(1)は誤り。常時50人以上の労働者を使用する事業場においては、1年以内ごとに1回、定期に、ストレスチェックを行わなければなりません。
(2)は誤り。事業者は、ストレスチェックを受けた労働者に対し、当該ストレスチェックを行った医師等から、遅滞なく、当該ストレスチェックの結果が通知されるようにしなければなりません。「衛生管理者」に通知する義務はありません。
(3)は正しい。
(4)は誤り。事業者は、ストレスチェックの結果、心理的な負担の程度が高い労働者で、面接指導を受ける必要があると実施者が認めた者が、医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、遅滞なく、医師による面接指導を行わなければなりません。心理的な負担の程度が高い「労働者全員」に対し、面接指導を行うのではありません。
(5)は誤り。事業者は、面接指導の結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を作成して、これを5年間保存しなければなりません。



問8 事務室の空気環境の測定、設備の点検等に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。

(1)燃焼器具を使用するときは、発熱量が著しく少ないものを除き、毎日、異常の有無を点検しなければならない。
(2)事務室において使用する機械による換気のための設備については、2か月以内ごとに1回、定期に、異常の有無を点検しなければならない。
(3)空気調和設備内に設けられた排水受けについては、原則として、1か月以内ごとに1回、定期に、その汚れ及び閉塞の状況を点検し、必要に応じ、その清掃等を行わなければならない。
(4)中央管理方式の空気調和設備を設けた建築物内の事務室については、空気中の一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率を、3か月以内ごとに1回、定期に、測定しなければならない。
(5)事務室の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替を行ったときは、その事務室における空気中のホルムアルデヒドの濃度を、その事務室の使用を開始した日以後所定の時期に1回、測定しなければならない。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。事業者は、中央管理方式の空気調和設備を設けている建築物の室で、事務所に使用するものにおいて、室における空気中の一酸化炭素および二酸化炭素の含有率、室温および外気温、相対湿度について、原則として2か月以内ごとに1回、定期に、作業環境測定をしなければなりません。



問9 週所定労働時間が25時間、週所定労働日数が4日である労働者であって、雇入れの日から起算して3年6か月継続勤務したものに対して、その後1年間に新たに与えなければならない年次有給休暇日数として、法令上、正しいものは次のうちどれか。
ただし、その労働者はその直前の1年間に全労働日の8割以上出勤したものとする。

(1)8日
(2)10日
(3)12日
(4)14日
(5)16日


答え(2)
週所定労働日数が4日以下で週所定労働時間が30時間未満の労働者は、付与対象者の週所定労働日数に応じた年次有給休暇日数(比例付与日数)が付与されます。その計算式は、次のとおりです。なお、求めた日数の端数は切り捨てます。

比例付与日数=通常の労働者の付与日数×付与対象者の週所定労働日数÷5.2日

3年6か月継続勤務した通常労働者に対しては、14日の年次有給休暇が与えられます。
比例付与日数を計算すると次のようになります。

14日×4日÷5.2日 ≒10.76日

日数の端数は切り捨てますので、この労働者には、10日の年次有給休暇が与えられます。
したがって、(2)10日が正解です。



問10 労働基準法に定める妊産婦等に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
ただし、常時使用する労働者数が10人以上の規模の事業場の場合とし、管理監督者等とは、「監督又は管理の地位にある者等、労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用除外者」をいうものとする。

(1)妊産婦とは、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性をいう。
(2)妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。
(3)1年単位の変形労働時間制を採用している場合であっても、妊産婦が請求した場合には、管理監督者等の場合を除き、1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならない。
(4)フレックスタイム制を採用している場合であっても、妊産婦が請求した場合には、管理監督者等の場合を除き、1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならない。
(5)生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。フレックスタイム制を採用している場合には、妊産婦であっても、法定労働時間(1週40時間、1日8時間)を超えて労働させることができます

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はじめまして。講師の奥田真史です。衛生管理者の講習会・通信講座なら私にお任せ下さい!
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