衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2023年4月) | 衛生管理者 講習会・通信講座

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衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2023年4月)

ここでは、2023年(令和5年)4月公表の過去問のうち「労働生理」の10問について解説いたします。
この過去問は、第1種衛生管理者、第2種衛生管理者の試験の範囲です。
なお、特例第1種衛生管理者試験の範囲には含まれません。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

衛生管理者の過去問の解説:関係法令:有害(2023年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2023年4月)
衛生管理者の過去問の解説:関係法令:一般(2023年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2023年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2023年4月)



問21 呼吸に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)呼吸は、胸膜が運動することで胸腔(くう)内の圧力を変化させ、肺を受動的に伸縮させることにより行われる。
(2)肺胞内の空気と肺胞を取り巻く毛細血管中の血液との間で行われるガス交換は、内呼吸である。
(3)成人の呼吸数は、通常、1分間に16~20回であるが、食事、入浴、発熱などによって増加する。
(4)チェーンストークス呼吸とは、肺機能の低下により呼吸数が増加した状態をいい、喫煙が原因となることが多い。
(5)身体活動時には、血液中の窒素分圧の上昇により呼吸中枢が刺激され、1回換気量及び呼吸数が増加する。


答え(3)
(1)は誤り。呼吸は胸膜の運動ではなく、横隔膜肋間筋の収縮・弛緩による胸腔内圧の変化で行われます。
(2)は誤り。肺胞内でのガス交換「外呼吸」に分類されます。「内呼吸」細胞レベルでの代謝活動における酸素と二酸化炭素の交換を指します。
(3)は正しい。成人の正常呼吸数は1分間に16~20回が一般的で、体温上昇や活動増加により頻度が上がります。
(4)は誤り。チェーンストークス呼吸は、一定期間の無呼吸と過呼吸が交互に現れる異常な呼吸パターンで、肺機能の低下ではなく延髄にある呼吸中枢の機能の低下が原因です。
(5)は誤り。運動時の呼吸増加は血液中の二酸化炭素分圧の変化によるもので、窒素分圧の上昇ではありません。



問22 心臓及び血液循環に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)心臓は、自律神経の中枢で発生した刺激が刺激伝導系を介して心筋に伝わることにより、規則正しく収縮と拡張を繰り返す。
(2)肺循環により左心房に戻ってきた血液は、左心室を経て大動脈に入る。
(3)大動脈を流れる血液は動脈血であるが、肺動脈を流れる血液は静脈血である。
(4)心臓の拍動による動脈圧の変動を末梢(しょう)の動脈で触知したものを脈拍といい、一般に、手首の橈(とう)骨動脈で触知する。
(5)心臓自体は、大動脈の起始部から出る冠動脈によって酸素や栄養分の供給を受けている。


答え(1)
(2)(3)(4)(5)は正しい。
(1)は誤り。心臓の中にある洞結節(洞房結節)で発生した刺激が、刺激伝導系を介して心筋に伝わることにより、心臓は規則正しく収縮と拡張を繰り返します。



問23 下の図は、脳などの正中縦断面であるが、図中に灰色で示すAからEの部位に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

問23図

(1)Aは、大脳皮質の前頭葉で、運動機能中枢、運動性言語中枢及び精神機能中枢がある。
(2)Bは、小脳で、体の平衡を保つ中枢がある。
(3)Cは、大脳皮質の後頭葉で、視覚中枢がある。
(4)Dは、延髄で、呼吸運動、循環器官・消化器官の働きなど、生命維持に重要な機能の中枢がある。
(5)Eは、間脳の視床下部で、自律神経系の中枢がある。


答え(2)
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は誤り。小脳は、Cの後頭葉の下に位置しています。Bの部位は、右脳と左脳をつなぐ神経線維の束で脳梁(のうりょう)に当たります。



問24 摂取した食物中の炭水化物(糖質)、脂質及び蛋(たん)白質を分解する消化酵素の組合せとして、正しいものは次のうちどれか。

A:炭水化物(糖質) B:脂質 C:蛋(たん)白質
(1)A:マルターゼ   B:リパーゼ    C:トリプシン
(2)A:トリプシン   B:アミラーゼ   C:ペプシン
(3)A:ペプシン    B:マルターゼ   C:トリプシン
(4)A:ペプシン    B:リパーゼ    C:マルターゼ
(5)A:アミラーゼ   B:トリプシン   C:リパーゼ


答え(1)
(1)正しい。マルターゼ(炭水化物)、リパーゼ(脂質)、トリプシン(蛋白質)です。
(2)誤り。トリプシンは蛋白質分解酵素です。アミラーゼは炭水化物分解酵素です。
(3)誤り。ペプシンは蛋白質分解酵素です。マルターゼは炭水化物分解酵素です。
(4)誤り。ペプシンは蛋白質分解酵素です。マルターゼは炭水化物分解酵素です。
(5)誤り。トリプシンは蛋白質分解酵素です。リパーゼは脂質分解酵素です。



問25 腎臓・泌尿器系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)糸球体では、血液中の蛋(たん)白質以外の血漿(しょう)成分がボウマン嚢(のう)に濾(こ)し出され、原尿が生成される。
(2)尿細管では、原尿に含まれる大部分の水分、電解質、栄養分などが血液中に再吸収される。
(3)尿の生成・排出により、体内の水分の量やナトリウムなどの電解質の濃度を調節するとともに、生命活動によって生じた不要な物質を排出する。
(4)尿の約95%は水分で、約5%が固形物であるが、その成分は全身の健康状態をよく反映するので、尿検査は健康診断などで広く行われている。
(5)血液中の尿素窒素(BUN)の値が低くなる場合は、腎臓の機能の低下が考えられる。


答え(5)
(1)正しい。糸球体で濾過されるのは蛋白質を除く血漿成分です。
(2)正しい。尿細管での再吸収が原尿を濃縮します。
(3)正しい。尿生成は電解質バランスや老廃物排出に寄与します。
(4)正しい。尿の95%は水分です。
(5)誤り。本来尿中に排泄される尿素窒素の血中値が高くなる場合は、腎臓の機能の低下が考えられます。



問26 血液に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)血液は、血漿(しょう)と有形成分から成り、有形成分は赤血球、白血球及び血小板から成る。
(2)血漿(しょう)中の蛋白(たん)質のうち、グロブリンは血液浸透圧の維持に関与し、アルブミンは免疫物質の抗体を含む。
(3)血液中に占める血球(主に赤血球)の容積の割合をヘマトクリットといい、男性で約45%、女性で約40%である。
(4)血液の凝固は、血漿(しょう)中のフィブリノーゲンがフィブリンに変化し、赤血球などが絡みついて固まる現象である。
(5)ABO式血液型は、赤血球の血液型分類の一つで、A型の血清は抗B抗体を持つ。


答え(2)
(1)正しい。血液は血漿と有形成分からなります。
(2)誤り。アルブミン浸透圧を維持し、グロブリン免疫抗体を含みます。逆の記述です。
(3)正しい。ヘマトクリット値は性別で異なります。
(4)正しい。血液凝固はフィブリン形成によるものです。
(5)正しい。ABO式血液型では、A型は抗B抗体を持ちます。



問27 感覚又は感覚器に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)眼軸が短過ぎるために、平行光線が網膜の後方で像を結ぶものを遠視という。
(2)嗅覚と味覚は化学感覚ともいわれ、物質の化学的性質を認知する感覚である。
(3)温度感覚は、皮膚のほか口腔(くう)などの粘膜にも存在し、一般に温覚の方が冷覚よりも鋭敏である。
(4)深部感覚は、筋肉や腱にある受容器から得られる身体各部の位置、運動などを認識する感覚である。
(5)中耳にある鼓室は、耳管によって咽頭に通じており、その内圧は外気圧と等しく保たれている。


答え(3)
(1)正しい。遠視は眼軸が短い場合に起こります。
(2)正しい。嗅覚と味覚は化学感覚です。
(3)誤り。冷覚のほうが温覚より鋭敏です。
(4)正しい。深部感覚は筋肉や腱から得られる情報です。
(5)正しい。鼓室は耳管で咽頭と連絡します。



問28 免疫に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)抗原とは、免疫に関係する細胞によって異物として認識される物質のことである。
(2)抗原となる物質には、蛋(たん)白質、糖質などがある。
(3)抗原に対する免疫が、逆に、人体の組織や細胞に傷害を与えてしまうことをアレルギーといい、主なアレルギー性疾患としては、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎などがある。
(4)免疫の機能が失われたり低下したりすることを免疫不全といい、免疫不全になると、感染症にかかりやすくなったり、がんに罹(り)患しやすくなったりする。
(5)免疫には、リンパ球が産生する抗体によって病原体を攻撃する細胞性免疫と、リンパ球などが直接に病原体などを取り込んで排除する体液性免疫の二つがある。


答え(5)
(1)正しい。抗原は異物として認識されます。
(2)正しい。抗原となる物質には、蛋白質、糖質など多様な物質が含まれます。
(3)正しい。アレルギー性疾患には、アレルギー性鼻炎、花粉症などが含まれます。
(4)正しい。免疫不全は感染症やがんのリスクを高めます。
(5)誤り。細胞性免疫リンパ球などが直接異物を攻撃し、体液性免疫抗体による攻撃を行います。



問29 筋肉に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)横紋筋は、骨に付着して身体の運動の原動力となる筋肉で意志によって動かすことができるが、平滑筋は、心筋などの内臓に存在する筋肉で意志によって動かすことができない。
(2)筋肉は神経からの刺激によって収縮するが、神経より疲労しにくい。
(3)荷物を持ち上げたり、屈伸運動を行うときは、筋肉が長さを変えずに外力に抵抗して筋力を発生させる等尺性収縮が生じている。
(4)強い力を必要とする運動を続けていると、筋肉を構成する個々の筋線維の太さは変わらないが、その数が増えることによって筋肉が太くなり筋力が増強する。
(5)筋肉自体が収縮して出す最大筋力は、筋肉の断面積1cm2当たりの平均値をとると、性差、年齢差がほとんどない。


答え(5)
(1)誤り。横紋筋は意識的に動かせる筋肉で、平滑筋は不随意筋です。ただし、心臓の筋肉(心筋)は、横紋筋でできており、意思によって動かせない不随意筋です。
(2)誤り。筋肉神経よりも疲労しやすいです。
(3)誤り。屈伸運動時には筋肉の長さが変化し、等張性収縮が起こります。
(4)誤り。筋肥大は筋線維の太さの増加によるものです。
(5)正しい。



問30 睡眠に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)入眠の直後にはノンレム睡眠が生じ、これが不十分な時には、日中に眠気を催しやすい。
(2)副交感神経系は、身体の機能を回復に向けて働く神経系で、休息や睡眠状態で活動が高まり、心拍数を減少し、消化管の運動を亢(こう)進する。
(3)睡眠と覚醒のリズムは、体内時計により約1日の周期に調節されており、体内時計の周期を外界の24時間周期に適切に同調させることができないために生じる睡眠の障害を、概日リズム睡眠障害という。
(4)睡眠と食事は深く関係しているため、就寝直前の過食は、肥満のほか不眠を招くことになる。
(5)脳下垂体から分泌されるセクレチンは、夜間に分泌が上昇するホルモンで、睡眠と覚醒のリズムの調節に関与している。


答え(5)
(1)正しい。ノンレム睡眠は身体回復に重要です。
(2)正しい。副交感神経は休息時に活動します。
(3)正しい。概日リズム睡眠障害は体内時計と昼夜のサイクルがずれることで起こる睡眠障害です。
(4)正しい。過食は睡眠の質に悪影響を及ぼします。
(5)誤り。セクレチンは消化に関するホルモンであり、睡眠リズムとは無関係です。睡眠と覚醒のリズムの調節に関与するホルモンとして、脳の松果体から分泌されるメラトニンがあります。

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